一暴十寒 <努力して怠けたい>

32歳男の日々の記録

清原和博 告白

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~清原和博 告白~

プロ野球好きの人であれば知らない人はいないであろう選手ではないだろうか。名門PL学園から西武ライオンズへ入団し読売ジャイアンツ、オリックスバッファローズと球団を渡り歩いた選手である。わたしの記憶では西武ライオンズのユニフォームを着てプレーしている清原選手のイメージは全くありませんでした。記憶にあるのジャイアンツのユニフォームを着てスキンヘッドにピアスと、まさに球界の番長というネームが似合う風貌でプレイしていた姿だ。そんな清原和博選手の野球を始めたきっかけから覚醒剤に手を染めてしまうまでのありのままを記した告白本です。大まかなあらすじです。

 

・憧れとなる人の存在

ほとんど野球に興味の無かった清原少年が祖父と観るジャイアンツの試合で特に王貞治さんのホームラン、小林繁投手の帽子を振り飛ばして投げる姿が特に印象に残っていると書かれています。野球中継を観ている時に「和博、日本一の男になるんやぞ」と祖父に言われたことからジャイアンツに憧れ、王貞治さんにも憧れも生まれることとなったそうです。この時王貞治さんに憧れた事で数年後のドラフト会議でより清原和博を苦しめることとなってしまいます。

 

・岸和田リトルに入団

野球に興味が無かった清原少年ですが地元のリトルリーグの入団テストを受けます。野球に興味があったと言うわけでは無く、自分の力試しのために入団テストを受けます。見事合格しますが、野球の練習が厳しくリトルリーグを辞めたいと思います。そんな中母親の協力、優しさに触れ野球を続けられた想い出が語られています。

 

・中学生(シニア)時代

この頃には他の遊びには目もくれず野球に没頭するようになっています。とにかく野球を続けたい為に脱水症状で倒れて病院に運ばれながらも、両親に知られれば野球を辞めさせられてしまうとまたグランドに戻って練習を続けるなどのエピソードの中に、とにかく野球を続けさせてくれた両親への感謝の気持ちも綴られています。そして高校進学の頃には全国の高校からのスカウトがあり、その中から天理高校、PL学園のどちらに進学しようか迷っていた話やPL学園の練習を見学したとき、感じた正直な気持ち、そしてPL学園に入寮する日の母親から渡されて物、辛くなったら自力で帰れるよう目印を見つけながら車で送って貰った話など、寂しさ、不安の思いも語られています。

 

・PL学園時代

もう二度と戻りたくないPL学園での寮生活について綴られています。一年生に課される練習以外の【仕事】と言われる上級生の為の炊事洗濯。その【仕事】が終わらなければ睡眠も取れず、【仕事】が終わっても学校の敷地外には出れない、上級生と同じ部屋…とにかく安らげる場所が無い事。一年生時のお風呂での制限なども細かく書かれています。そんな中でのお母さんから寮に送ってもらったある物で辛さを乗り越えられた事。野球の練習でグラウンドに出ても目立ってしまうと先輩からの【厳しい指導】があることやその【厳しい指導】から逃れるために目立たないようにした事、一年生にしてPL学園の4番打者を打つことになる経緯、その重圧、一年生から三年生までの甲子園の内容や桑田投手との絆についても触れています。

 

・運命のドラフト会議 

ハッキリと【裏切りのドラフト】と語られています。間違いなく巨人が一位指名してくれると信じていた事。早稲田大学進学と言われていた桑田投手とドラフト前に話した会話、ドラフト会議当日、桑田投手が部室で他の野球部員に言った言葉、桑田選手を指名出来たときの王監督の笑顔を観たときの心境、ドラフト会議の結果が分かった後PL学園野球部の部員がバットを持って桑田選手を探していた事など今まで知ることが出来なかった内容も綴られています。

 

この後はプロ野球西武ライオンズに入団してからFA権を取得してジャイアンツに移籍する時、好待遇を提示してくれた阪神タイガースでなく、なぜジャイアンツ入団を決めたのか、巨人軍での4番の重圧、苦悩、膝の手術から故仰木彬監督との想い出、入れ墨を入れようと考えた理由、どうしてもあと一本ホームランを打ちたいと強く願う気持ちなどが語られています。

そして覚醒剤使用に至った経緯なども語られています。

 

この本を読んでの感想は、野球を始めてから現在に至るまでの事細かな出来事が語られていて、今まで知っていたことも、始めて語った事も、一人の人間としてありのままを打ち明けたまさに【告白】の本です。心の中にあった思いがそのまま文章化されたと言いますか……。過去の過ちを悔い今現在も覚醒剤と戦い更生しようとしているそんな想いが伝わってくる、清原和博を応援したくなる一冊です。